シラノ・ド・ベルジュラック/エドモン・ロスタン/辰野隆、鈴木信太郎訳

 2010/8/28読了。古本購入。

シラノは学者で詩人で軍人で,おまけに天下無双の剣客だが美男とはいいかねる大鼻の持主。この豪傑が「考えまいと思うそばから,あの命取りの美しさ……」と秘かに想いをかける従妹に,あろうことか同僚の色男から仲をとりもって欲しいと頼まれる。(後略)

岩波文庫 あらすじより

 あらすじでほぼ過不足のないシチュエーションの説明が終っているので、とりあえず感想書きます。岩波フォントで読みづらいのは毎度のこと。ちょっと目を引く要素として脚本形式というのがあるんだけど、これはあんまり読みづらくなかったな。むしろルビ振りまくりの字体からすると、台詞の多い脚本形式のほうが読みやすいのかな? これで地の文ありでルビまくられたらちょっと読みづらいかもしれない。ルビの使い方がうまい。「羽根飾」をいさおし、こころいき、と読ませるのはなかなか……。訳者がいいのかな。

 何といっても魅力的なのは明るく破滅に向かってまっしぐらする主人公、シラノ……剣抜くの大概早いけどw 息を吸って吐くような感じであちこちに敵を作って「で?」っていう態度、これがシラノの格好いいところですな。常識持ちの友達(ル・ブレ)は困りっぱなし、っていうか、彼の台詞が大概死亡フラグすぎる。そんな心配したら逆に怖いじゃないか……。

 登場人物でいうと、本作ヒロインのロクサアヌのやばさが見逃せないw 演劇ってこんなキャラ濃いのが普通なのか? ザ・残酷ヒロインは恋愛に対して容赦しない……「あなたを恋しく思います」「ええ、それで?」「だから……愛しているのです」「それで?」「非常にです!」で死んだ。クリスチャンの野郎が哀れなことこの上なし( ;∀;) なまじ顔がいい分期待値が高くなって悲惨な目に遭うんだろうな。高貴な女性を射止めるにはなまなかなことではいかんとしても、辛すぎる。ライフゼロにもほどがあるw


 ここまでが従来感想のコピペ。もともとラストシーンがすごく好きだったんだけど、再読したら、料理屋でロクサアヌが去りぎわに無邪気に話をねだるところもなかなか良いw ロクサアヌが全体的に強すぎるよね……。