聖トルステン祭の掟/小説家になろう感想

 旧ブログからの転載です。一部修正。

 見つけた経緯について。なろうにて、キーワードをそのものズバリ「少女小説」で検索かけて引っ掛けたはず。作者の紫藤市さんは本作のほかにも「少女小説」タグで多作を投稿しておりまして、それらの作品を一気に作者読みしたところ……どれもこれも面白い!\(^o^)/ 陰謀最高!\(^o^)/ワッショイワッショイ

 以降の内容はネタバレを含んでいます。ご覧のかたはご了承ください。

聖トルステン祭の掟/紫藤市 さん作

四年に一度、うるう日にだけ開催される聖トルステン祭。祭に参加できるのは、15歳から18歳までの未婚の男女と決まっているが……。

小説家になろう あらすじより

 物語の舞台は聖トルステン祭の日。町中の女の子皆が憧れ楽しみにしていた祭が、いよいよ今夜開催される!……だというのに、はしかにかかってしまったリーゼロッテは、家から出ることができない。弟サシャからからかいや慰めを受けつつベッドの上で悶々としていたところ、近所の幼馴染が訪ねてくる。その彼、どうやらリーゼロッテがはしかにかかったことに責任を感じているようだが……。 っという雰囲気の物語です。

 世界のどこかののどかな田舎町で、ご近所みんな顔見知りで、のんびり暮らしてきた少年少女らが、特別な夜にちょっとだけがんばって意中の異性をさそう「聖トルステン祭」。女の子のおさそいを断ったら罰金(!)とかいう女性優位のルールもあって、男の子としてはまったく誘われないのも嫌だけど、モテモテすぎるのも怖いという、設定の塩梅が面白い。

 主人公のリーゼロッテも誘いたい相手がいたんだけど、運悪くはしかに罹患してしまい、家から出られず、ちぇ~っ、とかやっていたら、その意中のご本人様がお見舞いに訪れる……というはじまりですから、かなりラブラブ指数が高いお話なのかな? って思うじゃないですか。そんなことはないんですよ……。

 そう……

 このお話……

 幼馴染! 家がご近所!! 一生に一度しか参加できないお祭りの夜(ダンス付き)!!!

 っという、これでもかコレデモカ、エイヤッサどっこいしょとばかりにラブ要素が発生しそうな設定モリモリマシマシなのに、リーゼロッテが淡々と鬼あしらいをブチかますので、らぶらぶ展開にならないんですよ! ぜんぜん! めげないマルヴィンが健気でねぇ……。リーゼロッテはホントにマルヴィンのこと好きなのか?w

 この作品……のみならず、紫藤市さんの作品は、「不憫な近親者枠」と思われる登場人物枠がありまして(勝手に推察)、なにが言いたいかというと、サシャかわいいよ~!\(^o^)/ってことです。生意気だけどよく気が効いて、ちゃっかりしているけど姉の強引さに付き合ってしまう……不憫……。根がいいやつなんだよね。

 上でブーたら言いましたが、ラブラブ展開の条件がフルスロットルであるにもかかわらずラブラブしすぎない(ちょびっとはあるよ)ところ、好きです。それから、兄弟姉妹の関係性がステキ! よくお互いが特徴を把握しあってるな~という描写が楽しい。パーフェクトコミュニケーションっていえばいいのかな。会話が気持ちいい。


 本作とは関係ないのですが、同作者さんの「いまは亡き公国の謳」もオススメです……! 最後……!! 最後さあ……!!(嬉しくてもんどりうっている)