監察者 アッフェル・フォルト/小説家になろう感想

 旧ブログからの転載です。一部修正。

 見つけた経緯について。これもメモが残っていなかったので、小説情報とタグ情報から検索ワードをリバースエンジニアリング……もとい推測してみたところ、「女主人公」「妖精」あたりのキーワードで引っかけたものと思われます。リアルタイムで連載を追っていたので、読んだ時期は2016年ですね。追っかけていた連載が完結したときの嬉しさと気持ちの良い寂しさを与えてくれた作品でした。

 本記事はネタバレを含んでいます。閲覧するかたはご了承ください。

監察者 アッフェル・フォルト/ふみはなえ さん作

アッフェル・フォルトと言う女性がいました。人の思いがイメージになる世界で、そのイメージを取り締まる仕事である、監察者と言う役職についていました。その世界で、妖精が空を飛ぶと言う現象が生まれ、その解明が始まります。アッフェルフォルトは妖精王の娘と言われるほど美しい容姿をしています。性格は少しひねているかもしれません。王都での出来事です。

小説家になろう あらすじより

 嘘かまことか、妖精王の娘と噂される美貌の監察者であるアッフェル・フォルト。鐘の音とともにはかない妖精たちが空を舞った日、王都に迫る侵蝕の危機を探る命を受けて街に下りるが、敵はなかなかしっぽを見せない。それどころか、街には光の柱が落ち、夜の森は獣物を呼び覚まし、まぼろしの幻惑はますます人々を脅かしはじめる……。 っという雰囲気の物語です。

 もうちょい意訳すると、同僚と付き人を引き連れて、傍若無人な麗人がゆく!! みたいな物語です。(え、語弊がある?)

 海外文学ファンタジーっぽい要素のある冒険譚です。イメージが現実を脅かす世界、というのが新鮮で面白い。舞台となる王国は魔法のような力で守られており、外部から完全に隔絶されているのですが、「イメージが現実に顕現する」という不思議なルールが息づいています。たとえば「リンゴ飴食べたい……きらきらした飴がかかったあま~いカラメルの匂いのするリンゴ飴……」みたいなことを考えて、歌にしたり語って聞かせたりすると、それが本当に出現してしまう。さわれないけど。

 イメージが現実を侵食してしまう世界って、楽しそう……と一見は思えるんですけど、実際にはイメージを悪用する人や、反射的に頭に浮かんだことなんかで意図せぬイメージが発生したりすることもあるので、公には「監察者」と呼ばれる人が誓約のもとでのみ力を行使できることになっています。まあ個々人がイメージし放題だったらデタラメな世界になっちゃうわけで、仕方ないっちゃ仕方ない。

 全編を通してからっと明るい雰囲気なのですが、ふとした拍子にどこか物悲しい気配が差し込んでくる。物語の中では過ぎ去ってしまった過去の出来事もイメージとして主人公たちの前に現れるのですが、観察者はイメージをイメージとわかっているから、変えることのできない過去を見せつけられることになって……つまり、シェルフォードはあんなんされたら銀の監察者様に惚れてまうやろー!って言いたいw(偏見) 王様なんか押しのけちゃいなよYou!(ひどい)

 なんだかんだ最後に三人が穏やかな景色にたどり着けて良かったです。あと塔の上でアッフェル・フォルトとシェルフォードが仲睦まじくしている姿にツッコミを入れないバッセルは偉いと思いましたw いい子だバッセルw

 本作は、「むかしむかし……」から始まるおとぎ話みたいなファンタジーが好きな人(Not 剣と魔法)や、元気な少年が暴君(妙齢の女性)に振り回されまくってヒーヒーゆってる展開が好きな人にお勧めです。それから、クール・デレのデレが来なくても平気、むしろ好き、みたいな人にもお勧めです。デレる……デレない……デレる……デレない……。