2020/06/26読了。図書館で借りました。
読もうと思った経緯について。
去年の秋ごろからナショジオのドキュメンタリー番組「メーデー! 航空機事故の真実と真相」にドはまりしてしまい、放映中のシーズンを片っ端から録画&視聴して、Wikiの航空機事故ページを上から順に見ていって…そんな生活を半年以上続けた結果、おおよそ見終わってしまったので、次は本を当たろう~ってことで、飢えた目でAmazonを探し回っているときに見つけたのがこの本でした。
Amazonを「航空機事故」で検索して、ユーザーレビューの内容的に一番これが面白そうだったので買おうとしたのですが、新品なし/(^o^)\ ダメ元で近場の図書館蔵書を検索したら引っかかった。ヤッター\(^o^)/
航空機事故は一件一件が個性のあるドラマだ。人間・機械系や企業組織や監督行政などの様々な要素がそのドラマを構成しているのだが、主役を演じるのはやはり人間だ。本書の著者は世界の航空機事故の内実を綿密に取材して、技術文明の結晶とでもいうべき航空機がなぜ事故に陥るのかを説得力のある文脈で語っているが、とりわけ事故現場の状況や残骸やボイスレコーダーなどから事故のストーリーを読み解こうとする事故調査官の眼をとおして、ハイテク時代の技術と人間の落とし穴を浮き彫りにしていく語り口に、私はグイグイと引き込まれた。
(帯の推薦文より 柳田邦男)
図書館で借りたんですけど、上記の引用のように、帯がついていました。帯部分が表紙をめくった「見返し(※ググった )」部分に貼り付けられているんですね~。
読みはじめて割とすぐに「アレ?」って思うのが、どうもこの本は、当時放映されていた航空機事故調査テレビシリーズを見た人向けに書かれている…ような気がするんですね。自分はその番組を見ていないのですが、それこそ同等レベルの「メーデー!」を視聴していたのでだいたい理解できました。でもちょっとわかりづらいところがあるかなあ。
というのも、自分は最初、こういう(↓)感じの内容を想像していました。章ごとに違う事故を取り上げて、それぞれに対して詳述していく…メーデーと同じスタイルですね。
実際の本は、事故ベースではなく、事故原因の観点ベースで章立てされていました。ちょうどこんな感じ(↓)。ある事故原因(パイロットエラーとかね)をピックアップして、それにまつわる古今東西の事故の一部をインタビューを交えて紹介していくので、そもそも事故自体を知らない状態で読むと、何の話をしているかよくわからなくなっちゃう。そこがもったいないな~という感じです。
逆に言うと、ある程度事故を知っている状態で読むと、めちゃくちゃ楽しい(航空機事故という凄惨な題材なんだけど…)。いかに同じ原因の事故が多く起きているか、なぜ同じ原因の事故が防げなかったのか…そういう目線で航空機事故を概観できる。
「人間はミスをする生き物だ」という前提に立って、事故の本質を明らかにしていく事故調査官の執念がすごい。アメリカのNTSB(国家運輸安全委員会)とFAA(連邦航空局)の政治的なバチバチも読みごたえがある。独立の経緯とか面白いな…(面白がるな)
印象に残ったのは、「機械と人間の協調」について、賛成派、反対派、どちらとも言えない派…が、実にいろいろいるんだな~っていうのが、パイロットや調査官のインタビューからにじみ出ている点。七章「行きすぎた装置」のあたりですね。90年代後半でこうなら、いまはどうなっているんだろう? 少なくとも当時はオートパイロットに頼り切りなパイロットはナイでしょ、みたいな空気があったっぽいんだけど、いまはどうなんだろう。
章の最初に出てくる業界内とか特定の会社内にだけ通じる格言、冗談の引用が興味深い。そういうの、どこにでもあるんだろうな~って思える。自分の会社に当てはめても楽しい。弊社のメカ屋さんとか、特に品証部門とか、絶対なんか持ってるだろうなw
あと、発売時期の問題だろうけど、エアバスとボーイングの力関係に時代を感じる…この頃はボーイングがめちゃ勝ってたんだな…
日本語訳が出版されたのは1998年ですが、原著は1997/03に発売されたようなので、1997年以降の航空機事故は入っていません。2000年代の話題を盛り込んだ新しいバージョンとか出ないかな…それこそメーデー監修で…。