【短編】竜の啼く季節【全七話】/小説家になろう感想

 GWに入ってから読んだ作品です。小説家になろうを「狩人」で検索して、あらすじで引っかかったような記憶があります。

 以降の内容はネタバレを含んでいます。ご覧のかたはご了承ください。

【短編】竜の啼く季節【全七話】 /角煮 さん 作

 新王の戴冠式に献上する【竜の角】を求め、女騎士は偏屈な狩人とともに山をさまよう。
 竜は山の気を、そして人の気を詠む。静謐な心を保たねば、彼らは決して近寄ってこない。
 竜を求めるならば、まずは己の心と向き合えと、狩人は告げる。

 騎士であった父に憧れ、自らもその道を歩むことを選んだ女騎士は、しかし娘であるがゆえに父から騎士の資格はないと否定され、深く傷ついていた。
 秋から冬へと変わりゆく山の奥――大いなる自然そのものである竜とまみえたとき、彼女はなにを見て、そしてなにを得るのだろうか。

小説家になろう あらすじより

「狩人」「竜」「山」と、あらすじが完璧に自分好みだったので読んできました。どこか懐かしい香りのする素敵なファンタジー作品。

 四角四面な騎士シイは世捨て人の狩人を案内人としてドラゴン・ハンティングに出かけるんですけど、その竜というのがなかなか見つからない。しかも狩人は道々嫌味たらしい説教をかましてくる(もちろん本文にそういうことは書いていない)……と、探索は順調とは言えない状況だったのだが、山に潜り、狩人の言葉に耳を傾け、自然と一体になって過ごすうち、「竜を狩ればそれで終わり」とはならないことにシイは気がついてゆく。

 この物語、話の終わり方がとても素敵だ。父親との対話でパワープレイがさわやかに炸裂するんだけど、山で見つけた理屈でしっかり裏付けされている。もう決めちゃったもんねー、という開き直りがすごくいい。くさいくさいと言われながら頑張った甲斐があったなーと思いました(狩人はあの辺の言いかたを考えてあげてほしいよ!w)。

 最後のシーンで、今後のシイと狩人がどうなるのかなっていう想像の余地を残してくれるサービス精神に、そういうのを想像しがちな読者としては、ありがとうございますという感じでした。ええ、ええ、ありがとうございます……。