あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。姉のコンスタンスといっしょに,他の家族が皆殺しにされたこの屋敷で,ずっと暮らしている……。惨劇の起きた資産家一族の生き残り。村人から忌み嫌われ,外界との交流も最低限に止める彼女たちは,独自のルールを定めて静かな生活を送っていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに,美しく病んだ箱庭世界は大きな変化をむかえる。(後略)
創元推理文庫 あらすじより
2009年4月に読了。 後略に入るのは作者紹介です。
タイトルを見てホラーぽいな、と手に取り、紹介文を読んで恋愛ものだと思い、二ページまくってこれは妙な気配がするぜと購入いたしました。結論から言えば、恋愛ではなかった! それも、かすってもいない!
読んでるうちにメアリがおかしいのか村人がおかしいのか、読んでる自分がおかしいのか、やっぱり姉もおかしいのか、六年前の惨劇は誰の手によるものなのか、非常にドキドキしました。この小説は一人称で書かれております。が、これが三人称だったら事件の全貌はわりと早い段階で見えそうだし、登場人物に対する考えも変わるのだろうなーと思いました。一人称だったから、単純に(ってわけでもないか?)姉妹の側に寄って最後まで読みきったし、後半の村人の仕打ちはかなり恐ろしかった。実際にはそれで打ち止めだったけど、不幸がもっと襲い掛かって姉妹が離れ離れで終わるんじゃなかろうかとページをめくるのも怖かった、で、チャールズ消え去れとかも思ったわけです(笑)
しかしこれが三人称だったらなあ……。めでたしめでたし、と終わっても、後味の悪さや不快感がすごそうです。一人称でそれがまったく感じられないと言えば嘘になりますが。とりあえず最後は、そっかー、姉妹が幸せならいいか、よくないけど、まあ……というくらいの気分で読了できました。ひとによっては許せないラストかもしれないですね。
というところまでが、従来書いていた感想のコピペになります。ここに感想文を移動させるにあたって再読してみたところ、 やっぱりメリキャット怖すぎるし、村の人たちも怖すぎるw いや、これは、ちょっとすごいな~。
屋敷が大変なことになる少し前、猫を追いかけて庭に出たメリキャットが、屋敷を振り仰いでいかに自分がこの屋敷を愛しているのか独白するシーンがあるんですけど、そこがもう大好きですね。描写がもの寂しくて、郷愁の念が迫りくるというか。一番輝いていた時代はもう去ってしまって、二度と戻ってこないけど、思い出はいつまでも屋敷を美しく見せてくれる……まあそれもすぐ灰になっちゃうんですけど。
例の歌、自分なりに節をつけて歌ってみたけど、他の人はどういう感じで再生しているのかちょっと興味があるところ。